インプラントの寿命を縮めるインプラント周囲炎は、絶対に予防しなければならない病気ですが、実際の罹患率は気になりますよね。罹患率が低ければ予防も難しくはなさそうですし、これからインプラントを受ける人も安心感が強まることかと思います。今回はそんなインプラント周囲炎の罹患率と予防するために必要な3つの習慣を医療法人ODCインプラント 及川歯科医院がわかりやすく解説します。
▼インプラントの歯周病は2種類ある?
はじめに、インプラントの歯周病の種類について確認しておきましょう。インプラントを埋め込んだ部位に発生する歯周病には、「インプラント周囲粘膜炎」と「インプラント周囲炎」の2種類があります。インプラント周囲粘膜炎は通常の歯周病における「歯肉炎」に当たるもので、進行度は比較的軽度です。次に今回のテーマであるインプラント周囲炎についてですが、これは通常の歯周病における「歯周炎」に当てはまるため、比較的進行した歯周病といえます。この前提をもとにインプラント周囲炎の罹患率について考えていきましょう。
▼インプラントの歯周病の罹患率について
◎インプラント周囲粘膜炎の罹患率
比較的軽度の歯周病であるインプラント周囲粘膜炎は、罹患率が40%程度となっています。インプラント患者さん全体の40%というとかなり高い値に感じますが、あくまでまだ歯肉炎の段階なので悲観的になる必要もありません。そもそも日本人は成人の約80%が歯周病にかかっていると言われており、インプラント周囲粘膜炎の罹患率が40%に達していたとしても何ら不思議なことではないのです。
◎インプラント周囲炎の罹患率
次に、インプラントの歯周炎であるインプラント周囲炎は、罹患率が10%程度となっています。全体の1割がインプラントの歯周炎にかかっているのは、果たして多いのか、少ないのか。そこは価値観によっても判断が分かれますが、専門家からするとかなり良い数字といえます。なぜなら、インプラント治療を受けた患者さんの9割近くがインプラント周囲炎を予防できているからです。残り1割の人もしっかりと治療を受ければ、インプラントを失わずにすみます。
▼インプラント周囲炎にかからないための3つの習慣
インプラント周囲炎にかかりたくないという人は、次の3つの習慣を実践しましょう。
◎セルフケアを徹底する
インプラント周囲炎を予防する上で最も重要なのはセルフケア(きちんと行う歯ブラシ・歯間ブラシ)です。毎日の歯磨きをしっかり行って、歯周病菌の温床となる歯垢や歯石をゼロに近づけるくらいの手入れをしましょう。
◎メンテナンスを継続的に受ける
3~4ヵ月に1回くらいの頻度でインプラントのメンテナンスを受けていれば、インプラント周囲炎を予防できる可能性もかなり高くなります。
◎歯周病のリスク因子を取り除く
生活習慣には、歯周病リスクが著しく上昇させるものがあります。具体的には、喫煙、ストレス、睡眠不足、歯ぎしりなどです。そうした歯周病のリスク因子は、可能な限り取り除きましょう。そのためには生活習慣を根本から改善しなければなりません。
▼まとめ
今回は、インプラント周囲炎の罹患率とかからないための3つの習慣について解説しました。インプラント周囲炎の罹患率は全体の10%程度にとどまるため、それほど高くはなっていないものの、一度発症してしまうと治すのが難しくなりますので、可能な限りセルフケアで予防し、歯科医院でのメンテナンスを行いましましょう。