なぜ歯が痛いのか?その原因は?|及川歯科医院|栃木県益子町の歯医者

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なぜ歯が痛いのか?その原因は?

歯の痛みは、多くの人が経験する不快な症状の一つです。突然の鋭い痛みや、じんわりと続く鈍い痛みなど、症状の現れ方はさまざまですが、その原因を正しく理解することが重要です。歯が痛むと、「虫歯かもしれない」と考える方が多いかもしれませんが、実際にはそれ以外にもさまざまな要因が関係していることがあります。また、歯そのものに問題がある場合だけでなく、歯以外の疾患が原因で歯が痛むこともあります。

 

本記事では、歯が痛む主な原因について詳しく解説し、歯科医院での適切な診断と治療の重要性について説明します。自己判断で放置すると症状が悪化することもあるため、早めの対応が大切です。歯の痛みでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

 

▼歯が痛い原因

 

歯が痛い原因としては、主に以下の7つが挙げられます。

 

  1. 知覚過敏

 

知覚過敏とは、冷たいものや熱いもの、甘いものを摂取した際に、歯が鋭くしみるような痛みを感じる症状です。これは、歯の表面を覆うエナメル質が摩耗したり、歯茎が下がったりすることで象牙質が露出し、外部からの刺激が歯の神経に直接伝わりやすくなるために発生します。知覚過敏の主な原因には、過度なブラッシング、酸性食品や炭酸飲料の摂取、歯ぎしり、歯周病による歯茎の退縮などがあります。

 

初期段階であれば、知覚過敏用の歯磨き粉を使用することで症状を和らげることができますが、症状が続く場合は歯科医院で適切な治療を受けることが大切です。

 

  1. 虫歯

 

虫歯は、口腔内に存在する細菌が食事の糖分を分解して酸を作り出し、その酸が歯のエナメル質を溶かすことで発生します。初期段階では痛みを感じないことが多いですが、進行すると象牙質や歯髄(神経)に達し、ズキズキとした強い痛みが生じます。虫歯が進行すると、神経の治療(根管治療)が必要になり、さらに放置すると歯の喪失につながることもあります。

 

定期的な歯科検診を受けることで早期発見・早期治療が可能になり、症状が軽いうちに対処できます。

 

  1. 根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)

 

虫歯が進行して歯髄が感染し、歯の神経が死んでしまうと、細菌が歯の根の先(根尖)に感染し炎症を引き起こします。これが根尖性歯周炎です。噛んだときの強い痛みや、膿が溜まることが特徴です。

 

治療法としては、根管治療を行い、感染した組織を取り除いた後に薬剤を充填し、歯の内部を清潔に保つことが重要です。放置すると膿が蓄積し、さらに強い痛みや腫れを引き起こすことがあります。

 

  1. 重度の歯周炎

 

歯周病は、歯茎の炎症から始まり、進行すると歯を支える歯槽骨が破壊される病気です。軽度の歯肉炎では出血程度で済むことが多いですが、進行すると歯がグラグラと動き、重度の痛みを伴うことがあります。最悪の場合、歯の喪失に至ることもあります。

 

歯周病は、適切な口腔ケアと定期的な歯科医院でのクリーニングによって予防できます。進行した場合は、スケーリングやルートプレーニング、場合によっては外科的な治療が必要になります。

 

  1. 智歯周囲炎(ちししゅういえん)

 

親知らず(智歯)が正常に生えない場合、周囲の歯茎に炎症が起こることがあります。特に、半分埋まった状態の親知らずは細菌が繁殖しやすく、炎症を繰り返しやすいです。これが智歯周囲炎です。

 

症状が軽度の場合は、抗生物質や消毒による治療を行いますが、炎症を繰り返す場合は抜歯が推奨されることもあります。

 

  1. 歯根膜炎(しこんまくえん)

 

歯根膜炎は、過度な噛み締めや食いしばり、あるいは根管治療後の影響によって歯の周囲の組織に炎症が起こる病気です。噛むときに痛みを感じることが特徴で、ストレスや睡眠時の歯ぎしりも関与していることが多いです。

 

治療としては、原因となる噛み合わせの調整やマウスピースの使用、炎症が強い場合は消炎処置が行われます。

 

  1. 歯根破折

 

歯の根がひび割れたり折れたりすると、歯根破折が起こります。特に神経を取った歯は脆くなりやすく、強い噛み締めや外傷によって破折しやすくなります。

 

破折の程度によっては、歯を保存することができる場合もありますが、進行すると抜歯が必要になることもあります。

 

 

▼歯以外に原因がある歯痛について

 

歯が痛い原因は、必ずしも歯にあるとは限りません。以下に挙げるような病気でも歯痛が生じる可能性もあるため、十分な注意が必要です。

 

  1. 三叉神経痛

 

三叉神経痛は、顔の感覚を司る三叉神経が刺激されることで、電撃のような鋭い痛みが起こる病気です。歯の痛みと間違えやすいですが、歯科での検査では異常が見つからないことが特徴です。

 

  1. 心臓疾患

 

心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患が原因で、歯の痛みを感じることがあります。特に左の奥歯に痛みを感じることが多く、歯科では異常が見つからない場合は内科の受診が必要です。

 

  1. 上顎洞炎

 

副鼻腔炎の一種で、上顎洞が炎症を起こすことで歯の痛みを引き起こすことがあります。特に上の奥歯が痛む場合、鼻の症状と併発していることが多いです。

 

  1. 顎骨内の悪性腫瘍

 

まれに、顎の骨に腫瘍ができることで歯が痛むことがあります。腫瘍が神経を圧迫することで痛みが生じ、違和感が続く場合は早めの診断が必要です。

 

▼歯が痛い時の検査方法

 

歯が痛い時には、歯科医院で以下の検査を受けることができます。

 

  1. 視診

 

歯科医師が口腔内を直接観察し、歯の状態を詳細に確認します。虫歯の有無、歯の表面の異常、歯茎の腫れや出血、歯の動揺度(グラつき)などをチェックします。また、詰め物や被せ物の適合状態や、歯の摩耗の有無なども観察し、総合的な口腔状態を評価します。

 

  1. 触診

 

指や器具を使って歯や歯茎を軽く押したり、叩いたりすることで、痛みの程度や炎症の広がりを確認します。特に、歯根膜炎や根尖性歯周炎などの診断に有効です。顎の周囲の腫れや圧痛を確認し、炎症が顎骨にまで広がっている可能性があるかどうかも調べます。

 

  1. X線検査(レントゲン検査)

 

レントゲンを用いて、歯の内部や歯根の状態、骨の状態を確認します。肉眼では見えない虫歯の進行度、歯根周囲の病変、歯槽骨の吸収具合などを詳細に診断できます。

 

  1. CT検査(歯科用3D画像診断)

 

歯科用CTを使用すると、顎の骨や歯根の詳細な3D画像を取得することができます。従来のX線検査では判断しにくい、歯根の破折や顎骨の異常、親知らずの埋伏状態、歯周病による骨の吸収状況などをより正確に診断できます。特に、インプラント治療や抜歯の際に重要な情報を提供するため、高度な診断に役立ちます。

 

 

  1. 咬合検査(噛み合わせのチェック)

 

歯の痛みの原因が噛み合わせにある場合、咬合紙(咬合紙を噛むことで圧の分布を確認)や、顎の動きを測定する特殊な装置を用いて、噛み合わせのズレや負担のかかっている部位を特定します。歯ぎしりや食いしばりが原因で歯に負担がかかっている場合、この検査が有効です。

 

 

▼まとめ

 

今回は、歯が痛い原因について解説しました。歯の痛みには、知覚過敏や虫歯、歯周病などの歯そのものが原因となるものから、三叉神経痛や心臓疾患などの全身的な問題が関係している場合もあります。痛みの種類や程度によっては、放置することで症状が悪化することもあるため、早めの対応が必要です。

 

自己判断で痛みを我慢したり、市販の鎮痛薬で対処したりするだけでは根本的な解決にはなりません。まずは歯科を受診し、適切な診断と治療を受けることが、健康な歯を守る第一歩です。